一体何だって言うんだ、この小さな物体は。 多少気があるものの、手足はふにゃふにゃ。 言葉も喋れない。 喋れたとしたら、あーだの、うーだの訳の判らない音だけを発しやがる。 それが、その小さな手足をぺったぺったと鳴らして俺様の後を付いてきやがる。 何なんだ、貴様は。 俺は惑星ベジータの王子、ベジータ様だぞ。 その俺様に這いつくばって付いてくるとは一体何事だ! うわぁぁ、脚を触るな、脚を。 さっき変なベタベタしたジャムみないなの触っただろう、全く。 えぇい、立て!立つんだトランクス! 貴様、王族の血を継ぐものなら立て! そして、闘え! 闘ってその強さを俺に見せてみろ! ったく、ふわふわと俺を見上げて手を差し伸べやがって。 笑ったって、駄目だぞ、俺は絶対に抱き上げん。 そんなこっ恥ずかしいことなど出来るか! だが、まぁ。 もう少し大きくなったら、覚悟しておけよ。 お前は強くなる。 なんたって、俺様の子だからな。 みっちりと鍛えてやる。 いつか、この俺を越えることを、期待しているからな。 ―――――― 彼はどちらかと言うと、「ほくそえむ」に近い微笑を浮かべた。 |