信じられない。
嘘でしょう。
だって、だって、ホラ。
昨日まで笑っていたじゃない。
小島に、話を聞いても。
空先生に話を聞いても。
顔を背けて。
何も言わないの。
絶望に、何も言うことが出来ない。
授業が終わっても、何もする気が起こらない。
つい、数日前のことを思い出す。
―告白、した。
そう、この屋上で。
自分は岩崎に告白をしたのだ。
自然と足が屋上に向かって、気付けば格子に身を預けていた。
照れていた。
彼は微笑んで。
嬉しそうに。
でも、返事は先送りにしてほしい、と。
そして、私は。
―聞けなかった。
「返事、聞いてないよ、岩崎・・・・」
あの時彼は、私に何と言おうとしていたのだろう。
どんな返事を用意していたのだろう。
そして、彼は私のことを好きだったのだろうか。
うかがい知れない奴だけれど。
それでも私は岩崎仲俊という人間のことが大好きだった。
飄々としているけれど。
つかみ所が無いけれど。
それでも、生き様が。
あぁ、何て。
「格好いいんだろう」
思わず言葉が口をついて出てしまうけれど。
それを本人はもう聞いてくれない。
反応を返してくれない。
顔を、見せてはくれないのだ。
そう思うととても哀しくて。
悲しくて。
「うっ・・・・うく・・・うぅぅ・・・・」
目の前が、滲んでしまって。
全てがぼやけて。
崩れて。
「岩崎・・・・岩崎ぃぃっ!」
お腹が、苦しくて。
身体をくの字に曲げても。
大声を上げても。
大好きな彼は来てくれない。
優しい笑顔で笑いかけてはくれない。
大好きだったのに。
愛していたのに。
「っあああああぁぁぁぁっ・・・・嗚呼ぁあああぁぁっ・・・・・!!」
涙がぼろぼろ。
雪だるま。
受け止めてくれて。
染みが出来て。
そして、私は明日、笑ってみんなの前に顔を出すのだろうな。
ぁあ、何て。
汚いのだろうか、私は。
だから、今だけは。
この作り物の身体が流す、偽りなら無い透明で甘じょっぱい液体で。
少しだけでも汚れを落としてしまおうか。






END..............?