ふ、と思ったときにはすでに遅く。
沐絲という中国人は早乙女乱馬を押し倒して唇を奪っていた。
乱馬という男は、沐絲にとって救いがたい変態であり、恋の宿敵であり、また、心からの友人でもあった。
ただ、このときは沐絲の想っている珊璞が乱馬、乱馬と煩くて。
カチンときて勝負を申し込んだらばいつものように負けてしまい、偉そうに勝ち文句を言っている乱馬をわずらわしく思い行動に移したのであった。
別に故意ではなく、ただ乱馬という男が煩くて、何かで口を塞ごうにも沐絲の持っている暗器は全て乱馬との戦いで落とすなりなんなりして都合のいいものが無かった。
行動に移してしまうと不思議な物で、だんだんと悪戯心が沸いてきて、コイツは女のような反応をするのだろうかと唇を割り、舌を忍ばせて相手の舌を探り当てる。
抵抗するかと思っていた沐絲だが、驚いたことに乱馬は両手で沐絲の彼の頭を引き寄せて口付けを寄り深いものにした。
「ふ・・・・・んぅ・・・」
「ンむ・・・・ふ・・・ぅ」
公衆の面前、に近いのだろうか。
こう見えて沐絲は何かと近所の迷惑にならないように路地裏などで決闘を申し込むのだが、所詮、路地裏は路地裏。
誰かがひょい、と顔を覗かせてもおかしくない。
だが、2人はそんなこと気にせずに口付けに没頭していた。
絡まる舌は欲望の留まることを知らず、いったん口を離した沐絲と乱馬の間には銀色に光る粘ついた糸がひいていた。
そして、民族衣装の上をはだけさせた沐絲は同じように乱馬の上着をはだけさせ首筋にむしゃぶりついた。
「うぁっ・・・・」
それでもまだ乱馬は抵抗しない。
否、抵抗しようというそぶりさえ見せないのだ。それどころかどんどん沐絲に己の身体を任せていく。
とうとう乱馬が何を考えているのか分からなくなった沐絲は行為を中断して怪訝そうに眉を顰めた。
「むぉ、やめんのか?」
頬を上気させて挑発的に乱馬が口を開いた。
「・・・・何故、嫌がらぬ。お前さては男色家なのか?」
「べっつに・・・・・」
こともなげに、背中を道路につけたまま肩をすくめて見せる乱馬。
「・・・・やめじゃ、やめ。
おらは店に帰って珊璞を手伝うだ」
一気に何もかもがアホらしくなってしまった沐絲は民族衣装の前を直し、その場を立ち去ろうとした。
「うわっ・・・・と」
帰ろうと、一歩足を踏み出した沐絲の視界は反転した。
乱馬が彼の長い髪を引っ張って地面に叩きつけたのだ。
「いつつ・・・・」
「なぁ、おい。
俺をこんなにしといて帰るってのか?そりゃないぜぇ、生殺しはごめんだ」
言いながら乱馬は沐絲の皿洗いなど店の業務で荒れてしまった手をとり、下腹部にあてがった。
「・・・・やはり男色家なのではないか」
沐絲の手には、乱馬の熱が伝わり、緩やかな形も想像させた。
「いんや、どちらかと言うと女の方が好きだぜ」
「じゃぁ、おらでなくて天道あかねを襲えばいい。許婚なのじゃろ?」
当てつけられた手を振り払い、熱を冷ますかのようにその手も振る。
「だぁ〜め。あかねは大切なの。
恐い思いはさせたくない」
「おらはいいのか」
「だって、男だし?」
「この歳で痔持ちにはなりとうない」
「気にするなよ」
「何を・・・・んむっ」
乱馬の指が、沐絲の蕾をまさぐる。
沐絲の先端からは既に先走りがとめどなく溢れていて、元から鍛え上げられていた沐絲の身体を艶かしく見せている。
「ふ・・・・・うぁっ・・・・」
「声、出すなよ。人来ちまうぞ」
指を根元まで詰め込んでぐるぐると回す乱馬。
まるで沐絲に声を出させようとしているようだ。
それが沐絲には気にいらない。
気に入らない、が。
この乱馬という男、沐絲のよいところばかりを付いてくる。
「く・・・・・・ふぅぅ・・・・あっ」
「おいおい、だから声出すなって。
てか、お前結構淫乱だな、指三本入ってるぞ」
先走りを掬い取って執拗に蕾に塗りつけ、入れていく指を増やしていく。
ついに四本目を挿入し、ばらばらに動かす。
爪が、カリカリと内壁を引っ掻きたびに沐絲は甲高い声を上げる。
「あぁっ・・・・あ・・・あ・・・」
少し他の男性より高めである沐絲の声は、裏返っていたり、湿っていたりで女のようになってしまっていて、それが乱馬を昂ぶらせていく。
沐絲自身も、ぶるぶるとはちきれんばかりに震えていて、もう限界に近づいているようだった。
「へ・・・」
と、今まで沐絲の乳首やら首筋やらに紅い痕を残していた乱馬の顔が消える。
「・・・・?ふわぁっ・・・・!!」
一瞬、ほんの一瞬だが乱馬が沐絲の蕾を舐めたのだ。
「な、何を・・・・汚い真似はするなっ・・・くぅ・・・」
生理的な涙で沐絲の目は潤んでいる。
「そんな顔ですごまれても・・・・ね」
「ぐ・・・・あああああっ!!!」
言葉が終わると同時に乱馬は一気に沐絲を貫き、そこから激しく動き出した。
「あっ・・・・あ、あ、あ、ああっ・・・・痛い、乱馬、痛い!」
「我慢しろよ、男だろ・・・・?それにすぐ善くなるよ」
「ぐ・・・・ん・・・・あっ、ああ・・・」
パン、パンと乾いた音を立て、そして、結合部からはぐちゅぐちゅという淫らな音を響かせて。
それが元から限界に近かった沐絲をより高みへと昇らせていく。
そのうえ乱馬が指の時と同様に沐絲のいい所ばかりを付いていくのだ。
挿入からそう間もない時、沐絲は一際甲高い声を上げて、頭のてっぺんからつま先までを震わせて射精した。
「嗚呼あああ・・・・ぁあ、あ・・・・はっ・・・はっ」
「へぇ、早漏いな・・・・」
勢いよくとんだ沐絲の精液を顔につけた乱馬は顔をにぃと歪めて口の端に付いたそれを舐めとった。
「濃いし」
「う・・・あっ・・・あっ」
まだ達していない乱馬は寄り激しく腰を揺らして沐絲の意識を繋ぎとめている。
「ま、ちょっと待ってろよ、俺もすぐだから」
「ひぎ、ぃぃ・・・いい!乱馬、イイ、いぃいぃいいぃっ!!」
「イった後に言われてもなぁ」
「いぃ、イイ、乱馬、いいよぉっ・・・・」
「うぉ、ヤベ」
「ひぃ、ぃぃ・・・ひぐっ」
ぐんと腰を引き抜いた乱馬は沐絲を引き起こして彼の挑発を掴んだ。
「口あけろ」
「ふあ・・・あく・・・」
大人しく口をあけた直後、白い物が乱馬から飛び出す。
「ふぁっ・・・ああ・・・・。
・・・ははっ、そういうお前もずいぶん濃いではないか」
苦そうに口から飛び出た物や、顔に掛かってしまった物を拭っては舐めとっていく沐絲。
「・・・・お前、結構溜め込むタイプじゃな」
「お前もだろ、珊璞相手じゃな」
「・・・・・」
柔らかく笑った沐絲は、電柱から飛び出ているネジに引っ掛けた民族衣装を取り、身に纏った。
「また、相手してくれるか、乱馬」
「おぅ、今度は布団敷くか、背中傷できてねぇか?」
「ちょっとヒリヒリするくらいじゃ、気にするな」
「ふん・・・」
立ち去っていく沐絲の背を見送る乱馬。
姿が見えなくなったころ、乱馬はぽつりと呟いた。
「アイツ、ずっと珊璞のこと考えてやがった」
ま、自分も人のコトいえないけどな、と首を振り、乱馬も天道道場へと足をのばす。
愛しい許婚の顔を見に、声を聞きに。
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たまに、ほも書かないと何かが。
モヘたりないのです。
次は良沐でも…?